最初の記憶は、夜、月明かり、
そして――血の海。
少年はその夜、血に濡れていた。
人を殺めてしまったから。
そうしなければ、自分が死んでいた。
そうしなければ、生きられなかった。
しかし、その場しのぎの衝動的な行動によって、
少年はなお追い詰められていた。
どちらにせよ、これが見つかれば自分はただでは済まないのだ。
「――おや? ……これはこれは。先を越されてしまったかなあ」
それは朗々とした声だった。
そして、あまりにも美しい"生き物"だった。
月明かりを浴びた《彼》は、少年に手を差し伸べこう言った。
「ボクはキミに出会うためにここまで来たのかもしれないね」
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――これは、一人の少年による回想録である。